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3月・いつもの公園

2009.12.20

雄太がいつもの調子で、聞く。
「いや、実はさ・・・」
と、珍く僕から切り出した・・・
「あら、なーんもねえよ。ひまだから。じゃあないの?」
いつもなら、「なーんもねえよ。ひまだから。」それが二人の会話の始まり。でもきょうは違った。
「俺だっていつもいっしょじゃねーよ。」
「めずらしいな。ヒデ・・・仕事やめたか?」
「え?なんでわかった?」
「なんとなくね。ヒデさ、ほら、俺と一緒でバカじゃん。天気と同じで気分屋だし。晴れてれば、バカみたいにはしゃいでさ、雨の日はじっとりみたな。今日晴れてんじゃん。でも、おまえ雨の日も顔でしょ?それ。」
雄太の言うと通りだ。僕は、かなりの気分屋なのかもしれない。いや僕たちは・・・
「ヒデ・・・せめて、曇りにしろ。理由はいいよ。おまえらしいじゃん。それより思ったんだけどさ、『組織の一人』にはなれないよ。ずっとみてきた俺だからな、取り合えず、確信もっていえるな。あ!もう一つ、孤独にもなれない。」
「組織、孤独ね・・・」
「そうそう、車のリミッター外したか?かっ飛ばしにいこうぜ~。」
「まだなんだよ。暇になったからやろうとは思ってる。」
「早くしろよ~楽しみにしてるんだからさ。リミッターくらいの違法改造なら見つかんないだからさー。」
「わかってるよ。」
「それぐらいの違法もみつかんねーんだぞ。先に、おまえのリミッター外せ。」

「え?」

「さて、会社戻らないと。また、会社つぶれるんだ。処理!処理!経営コンサルタントじゃなくて、倒産促進業みたいだよ、名前変えようかな!なーんて。ごめんな、あんま時間とれなくて。これ、サンキュ!じゃあなー」
「おう、こっちこそ。」
 雄太は僕が買ってきたサンドイッチとコーヒーの入ったコンビニの袋を持って会社へ戻っていった。
 雄太の言葉が重かった。何も話していないのに。