好き勝手やってきた。
今もなお。
いつも二人で。
高校時代も駆け抜けた。
僕はエンジニアを目指し、工業大学へ。雄太は教師を目指していたが、うまくいかず、近くの経営学部の大学へ。僕はたまたまアルバイトの募集がでていた進学塾でバイトを始め、思い立ったら止められない性格で、大学を中退して、塾へ就職した。
天職と思って。
雄太はそのまま大学を卒業し、経営コンサルタントの道へ。
元はといえば雄太は教育志望で彼の熱い思いが僕に移っただけだった。
僕はいつかまた二人でなにか成し遂げられると信じて、この道へと進んだ。だから、教育の現場から去るのは、余計に重かった。
やめたくていやめたわけじゃないし・・・
自分探ししよう・・・今更こんな言葉カッコ悪いけど・・・
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3月・快晴
3月・いつもの公園
雄太がいつもの調子で、聞く。
「いや、実はさ・・・」
と、珍く僕から切り出した・・・
「あら、なーんもねえよ。ひまだから。じゃあないの?」
いつもなら、「なーんもねえよ。ひまだから。」それが二人の会話の始まり。でもきょうは違った。
「俺だっていつもいっしょじゃねーよ。」
「めずらしいな。ヒデ・・・仕事やめたか?」
「え?なんでわかった?」
「なんとなくね。ヒデさ、ほら、俺と一緒でバカじゃん。天気と同じで気分屋だし。晴れてれば、バカみたいにはしゃいでさ、雨の日はじっとりみたな。今日晴れてんじゃん。でも、おまえ雨の日も顔でしょ?それ。」
雄太の言うと通りだ。僕は、かなりの気分屋なのかもしれない。いや僕たちは・・・
「ヒデ・・・せめて、曇りにしろ。理由はいいよ。おまえらしいじゃん。それより思ったんだけどさ、『組織の一人』にはなれないよ。ずっとみてきた俺だからな、取り合えず、確信もっていえるな。あ!もう一つ、孤独にもなれない。」
「組織、孤独ね・・・」
「そうそう、車のリミッター外したか?かっ飛ばしにいこうぜ~。」
「まだなんだよ。暇になったからやろうとは思ってる。」
「早くしろよ~楽しみにしてるんだからさ。リミッターくらいの違法改造なら見つかんないだからさー。」
「わかってるよ。」
「それぐらいの違法もみつかんねーんだぞ。先に、おまえのリミッター外せ。」
「え?」
「さて、会社戻らないと。また、会社つぶれるんだ。処理!処理!経営コンサルタントじゃなくて、倒産促進業みたいだよ、名前変えようかな!なーんて。ごめんな、あんま時間とれなくて。これ、サンキュ!じゃあなー」
「おう、こっちこそ。」
雄太は僕が買ってきたサンドイッチとコーヒーの入ったコンビニの袋を持って会社へ戻っていった。
雄太の言葉が重かった。何も話していないのに。